僕が以前、住んでた街のホテルには、その最上階に北側にはラウンジバー、南側にはレストランバーがあった。
エレベーターでそのラウンジバーに向かう時に、あわててエレベーターに飛び込んできた彼女・・・楽譜を脇に抱え、息を切らしていた。
最上階につくとエレベーターのドアが開き、彼女は向かって正面にあるレストランバーへ駆け込んでいった・・・
僕は向かって右手のラウンジバーに。
ラウンジバーに入ると、左手がカウンター、右手と奥がBox席に・・・僕はカウンターに座り、いつものモルトウィスキーで喉を潤した☆
顔なじみのお客さんや、女の子とたわいの無いお話をし、ほろ酔いかげんで席をたった・・・・。
帰ろうと、エレベーターホールに出たときに、かすかにピアノの音がする。
「まだちょっと早いなー」とつぶやき、ピアノの音がするレストランバーへ・・・・
中に入ると、もう一つドアがあり、そのすぐ脇にグランドピアノが、その向こうにカウンターと窓側に客席がある・・・そのままカウンターにつき、マティーニを注文した。
バーテンダーが「お久しぶりですね」と声をかけながらグラスをさしだした。
一口含み、ピアノの方に目を向けると、あの彼女が・・・曲名はなんだったかなー"It's fall in Love ?? "をピアノを弾きながら歌っていた☆
曲が終わり、こちらを向いて・・微笑をみせてくれたような☆
酔いが回ったのか、少しハートが高鳴ってきた・・・・・
「この胸を躍らせるのは、このカクテル・・・それともあの歌・・・・それとも・・・」
いま、あの街の思い出が、いくつも・・いくつも・・・