と尋ねてきた。
僕の話が気になったのか、店の中の椅子に座るように促された。
そして、店主が・・・
「どんな話をしたんだい」
・・・・・「不思議なんですが、見ていると私の頭の中で囁き声が響くんです」
「ここを連れ出して、遊んでくれ・・・と言ってるようで」
「私は起きたてで、空耳のような気がしたので、ここを立ち去ろうとしました。でも歩き始めると、すぐにまた囁くんです、どうしても気になり、また覗きこんでいました」
すると店主は、
「この人形については、わしも気になることが一つあるんだ。
実は、この人形、2体が対に作られたもので、一年ほど前に、毎日ショーウィンドウを覗きこむ少女がいたんだ。
ある日、その子に尋ねたら、
気にいって眺めていたらこの人形達が囁いてきたと言うんだ。 だから、これがどうしてもほしいけどお金が無いと言って、無理やり一体だけなけなしのお金を置いて、持って行った・・・・・・必ず、必ず、また来るからと言い残してね」
「あれから、ずっと気になって、この一体を売らずに、あの子を待っているが、あの日以来・・・・来なくなった」
・・・・「そうなんですか、この人形の囁き 他の人は誰も聞かなかったんですか?」
「そう、この人形の囁きを聞いたというのは、あの女の子以来、きみが初めてなんだ」