2010年6月18日金曜日

マリオネットの囁き・・・・・・「僕と遊んでよ」

まだ人気の無い石畳みの歩道をコートの襟を立てて、そこを去ろうとしたが、その囁きが頭の中で響いた。

   かすかだが頭の中ではきちんと聞こえている
     「ねえ・・・・僕と遊んで・・・・」

振りかえり、その囁きはどこから聞こえてくるのか様子をさぐった。

半開きのショーウインドウ・・・・そこからとしか思えない。

もう一度、ショーウインドウを覗きこむ。

またしばらく目を凝らして、その人形を眺め長ながらそこにたたずんでいた。  なんだか気になる一体がある・・・・・・


すると、その店から人の気配が・・・・・・
脇のドアが開き、初老の店主らしき人が声をかけてきた。

「こんなに早くに、どうしたんだい? 気に入ったものでもあるのかね?」

・・・・・・・「ええ、あの人形が僕に・・・・・・」

「あの人形がどうしたんだい?」

    ・・・・・・「僕に囁いているようなんです」

「ほう、どんなふうに囁くんだい」

    ・・・・・「ええ、一緒に連れ出して、遊んでくれって」

その店の店主はも僕の顔をしばらく見つめ

   「こんなとこでは寒いから、中に入りなさい」   と店の中へ通してくれた。

  

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